製造業で起こる失敗とか不良品を不適合とか不適合品と呼びます。
職人によっては、ペケと呼んだりもします。
まったく来て欲しくないんですが、不適合くんは、突然やってきます。笑
各職種によって、いろんな苦労があるのは当然なのですが、製造現場もいろんなものと戦ってます。
納期、コスト、仕様、暑さ、手汗の滑り、寒さによる手足のかじかみ、吐息でゴーグルが曇る、意味のわからない図面、社長の無茶振り。笑
製造部門だけで解決するのは不可能ですので、経営幹部、営業、総務、製造、事務、みんなで一体となって、ひとつずつ潰していくしかないです。
その中で「失敗」や「失敗への不安」とも戦ってるんですね。
特に「ポカ」と言われる、うっかりミスについては撲滅が非常に難しいです。
朝、家を出る時に鍵をかけたかどうかを、いちいち覚えていないように、うっかりミスは意識の範疇の外で起こるからです。
それを徹底的に潰していこうというのが日本の誇るものづくりでもあります。
ステンレスジョイントでも撲滅のための取り組みを行なっていますが、なにも社内だけで起こるとは限りません。
協力工場でも起こります。
加工者を吊るし上げるのは、その時は簡単ですが、それをやっても未来が無い。
まして加工者だけに責任があるわけではない場合に加工者だけのせいにしてしまうと、真実は永遠に見えなくなります。
個人単位よりも会社単位で、会社単位よりも協力工場やお客さんを巻き込んだサプライチェーンで、と大きな枠組みでの強化が大事やと思います。
不適合が起きたときに、「お客さん VS 自社」ではなく、「お客さんと自社 チームVS 不適合」となれるかどうかです。
お客さんもいろんなお客さんがおられますし、仕事の内容や難易度や受けた時の条件によっても状況は変わります。
お客さんから仕事を注文していただいている以上、「やっちゃいました。すんまへん。えへへ。」では済まされません。
今は聞かなくなりましたが、現場でたまに言こえてきたのが、「使えるから大丈夫やろう」という言葉です。
使えるかどうかを決めるのは設計したお客さんや、その先のエンドユーザーさんであって、製造を請負った僕ら下請けメーカーではない。
ましてミスをした本人が言うのは論外ですよね。
思っていても、その言葉は飲み込んだ方が、次の発言の説得力が上がります。
なぜそうなったのか、どうすれば次は大丈夫なのか、どのような取り組みを行なっていくのか、お客さんに説明するためというのも、もちろんですが、自分たちの未来のために考えないとお客さんは去っていきます。
あぐらをかいたら終わりです。
短納期で低予算で厳しい仕様で不適合が出た際は、お客さんも頭ごなしに怒り出す、ということはないと思います。
もしそうなったら、その程度の信頼関係だった、ということですね。
なんでもかんでもダメという方もおられますが、ものづくりのあるべき姿にたって考える方もおられます。
後者の方がダメということは、すぐに作り直すしかないですね。
人間やから失敗もする。
失敗ゼロというのは、それは人間ではないです。笑
そのお客さんがピンチの時にはこちらはいつもフォローに回っていたのに、こちらのピンチの時にはまったくフォローしてくれなかったこともあります。
お互いのために、普段の信頼関係がとても大事やと思います。
目先の勘定で動くと、大きな信頼を失います。
信頼を失うことに比べたら、少々の費用なんて、どうってことはないです。
非常時ほど、人間の素が出ます。
会社も一緒ですね。
少なくとも視線が合っている間は、自分が相手を見ているように相手も自分を見ています。
不適合撲滅に向けて、新しい工夫を考えていきます。