
ある日家族4人で割とよく行く有名チェーン店で昼ご飯をとった。
幼稚園年長の息子は好きなかぼちゃのメニュー。
秋限定らしい。
嫁はんも僕も、かぼちゃは好んでは食べない。
「残したらこれ食べなあかんな」と思いつつも、子供が食べ残すことを前提として子供の好きなものを注文させないなんて完璧に間違った考え方やし好きじゃない。
おそらく嫁も同じ気持ちやったやろう。
息子も意気揚々と食べ始めたが、3人が食べ終わってもほとんど箸が進んでない。
普段から「不味いと声高に言えば作った人に失礼になる」と教えているからか、美味しくないとは言わない。
基本的に「残さず食べや」という主義の自分たち夫婦も一口食べて「これは無理」と実感した。
美味しくない。
なんか苦い。
たぶん味見をしていない。
残りは親が平らげた。
次の日の夜ご飯に、嫁はんの作ったかぼちゃの煮物が出てきた。
とても美味しくて子供たちもたくさん食べたとのこと。
たぶん嫁はんが「息子が好きなかぼちゃを嫌な思い出のままにするわけにはいかない」と、思い出の上書きを試みたんやと思う。
嫁に訊くと「そこに気づいてくれることが嬉しい」と返ってきた。
自慢みたいに聞こえると心苦しいけど、せっかく人間として生まれた以上、こういう心のやり取りをしながら生きていきたいと思う。