なめられたらいい

自分は2009年に、この業界に入りました。

製造業?

金属加工業?

製缶溶接業?

機械加工業界?

真空業界?

どの言い方が正しいんかわかりませんけど。笑

いわゆる社長の息子として入社したわけで、周りはみんな将来、後を継ぐんやろうという目で見てたと思います。

ただし、兄が先に入社していました。

ちなみに兄は、今は製造部門責任者の専務取締役として会社を一緒に経営しています。

僕は、入社した時で23歳。

代表取締役になった時で31歳です。

この業界(どの業界?笑)では若いとよく言われます。

実際に中小の製造業で、自分より若い年齢で代表者になった人を僕は1人しか知りません。

しかもその方は24歳の時に、先代の急逝によって、すぐに跡を継がないといけなくなった、ということですので、自分とは比べ物にならないくらい大変で、厳しく、相当な思いをされたことと思います。

自分がお会いした時も優しい声をかけてくださいました。

ものづくりの世界に入ったときに、いろんな人から言われました。

なめられたらあかん。

と。

足元を見られる、馬鹿にされる、貧乏くじをひかされる、プライドが傷つく、いろいろあると思うんですが、確かにそう言われていた時期はそう思っていました。

町工場の社長で僕みたいな頼りない人いないと思うんですけど、自分はバリ取りさえまともにできません。笑

社長が一番加工がうまい、というのが町工場のセオリーやと思うんですけどね。笑

なので、何か実際に製品を製作する技能で、不動の立ち位置というものを奪い取るようなことはできません。

最後にバリ取りしたの中学生のときちゃうかな。

今は、プロフェッショナルという意味を知ってしまったので、不良品出すの怖くてよう触りません。

これバリ取りしたん誰や!

あ、わたくしでございますです…。(小声)

って、なりますからね。笑

やからこそ、この会社で、実際に製品を触る部分以外をすべて極めてやろう、今までに会社にいなかった人になろう、と思ったんです。

なめられへんように。

たとえば、規格の話。

お客さんとJIS(日本産業規格のこと)の話になることも多いんですが、一冊で国語辞典みたいな厚さの工業規格を自分でめくって読む人ってすごく少ないんです。

めんどくさいから。笑

うちにあるだけで、そんなんが20冊くらいあります。

しかも、やっかいなことに数年で改訂されるんです。

お客さんは、規格通りか確認もなく、御社間違えてますよ!

って、はっきりおっしゃいます。笑

こちとら小学生低学年の時から広辞苑読んでます。

うすーい紙めくるの慣れてるんです。笑

実際の規格の話になると、知ってるもん勝ちです。

知ってるというか調べたもん勝ちというか。

いや、ホンマは勝ち負けやないんですけど。笑

このとき、年齢ほど役に立たん要素はない。

さすがに大量の時間がかかることは、人海戦術で小さい会社に分(ぶ)はありませんが、少なくとも、言われのないクレームは当然退けないとダメです。

現場を守るために自分がいるので。

当然、逆のパターンもありますけどね。

うちが完全に間違えてて、お客さんにご迷惑をおかけしているパターン。

その時は、お客さんと現場の橋渡し役になります。

双方思いがありますからね。

良いものを作りたいのは社内も社外も関係なく、全員同じなんですよ。

他にも、自分ではたくさん取り組んだつもりです。

業務の効率化を筆頭に。

営業は若い社員も入ってくれてだいぶ楽になりましたが、今も、決算業務含め、財務、労務、法務、とかウェブ関係は基本的に1人です。

当然新しいことも最初は1人で取り組みます。

何も知らん人が、パソコンをサーバーにしたり、独自ドメインを移管したり、レンタルサーバー を借りて、DNS設定とか、メールサーバーの切り分けとか、Shopifyをオープンして英語化するとか、商標権取ったり、意匠権取ったり、を日頃の実務と並行してやります。

まだまだやりたいことたくさんですけど。

そんなことまで社長が自分でやったらアカンと言う人もいます。

すごくわかります。

僕も思います。笑

でもある程度のとこは自分でやらないと、何も知らん人になってまうんですよね。

仕事を振るだけの人に。

それでは、なかなか社員のみんなもついてきてくれないと思うんですよね。

自分でやってみたい、というのもあります。

それがアカンのか。笑

でもやっぱり、やってみたから、わかったことってたくさんあります。

だから社外のプロの方と話をする時に、わずかでも理解ができるんやと思います。

まったくわからなければ、それは打ち合わせにならず、丸投げになります。

現場と距離が縮まったのは、たぶん会社でよう寝泊りするようになった頃ですかね。笑

職人はそういう人間味の出るところ、尊重しますからね。

もうしませんけど。笑

30歳の誕生日が最後ですね。笑

ちなみに、お国を守る業界の仕事でした。笑

で、今は逆やと思ってるんです。

なめられたらええ、と。

どんどんなめてください、と。

その時に苦いと思うか、痛くてのたうちまわるか。

うひひひひひひ。笑

って思ってた時期もあったんですけど。笑

最近更に変わったんです。

甘かったらええねん、と。

甘かったら、またお客さん、僕のところに来てくれるじゃないですか。笑

栄養があれば更にいい。笑

そしたら、お互いに成長していけますからね!

ええことゆうた!笑

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