後継者が家業から受け取る資産と負債の話

以前X(Twitter)で投稿して反響が大きかった投稿を転記しておきます。

原文のままで読みやすいよう改行と余白だけ足しました。

引用やリプライもたくさん寄せてくださったので、是非そちらもご覧ください。

金曜の夜は誰も読んでないから超長文を投下しておくか。

後継者が家業から受け取る資産と負債の話。

事業の後継者には資産と負債というプラスとマイナスの側面がある。

実際の話をすると、後継者やから、という理由だけで技術やノウハウを受け取りやすい場合は多い。

一般的に1年目で絶対やったらあかんことでも入社直後から実施できたりする。

法の外にいるから会社にも泊まり放題。

当然本人の意欲もすこぶる高い場合が多いから、すごいスピードで仕事の経験を積める。

これが究極の資産。

跡取り候補として入社していなければ、実際これは難しかったりする。

加えて、優良な会社なら、素晴らしい仕事をしてくれる社員や、先を見越して取得された知的財産、預金などの豊富な流動資産、明るく自発的で風通しの良い企業文化なんてものもある。

人材育成、内部留保、文化醸成は一朝一夕でできることではない。

素晴らしい経営者の後を継ぐ人は、そうでない人より一旦は遥かに楽ができるやろう。

ただし、自分が素晴らしい経営者になれるか、はまた別の話。

負債は、多額の借入金だけでなく、老朽化した建物や設備、合理性のない独自文化、不平不満の温床となる是正の難しい謎ルール、なぜか存在しない就業規則、なぜか締結されてない36協定、安全装置が不要な時代に購入し法改正によって安全装置が必要になったままの機械、旧時代が遺したPCBや水銀灯に至るまで、たくさんある。

とても残念なことやけど先代そのものが負債になってしまう場合すらある。

全てが決算書に表れるわけではないし、後から後からどんどん出てくることもある。

後継者は律儀な人が多い気がする。

資産だけを受け取って、負債はパスすればとても楽やと思うけど、そうする人は珍しいと思う。

だから多くの後継者が心身を壊す。

この国は中小零細企業が多い。

これは何の統計も無くただの勘やけど、多くの人が大好きであろう夢見る「ものづくり大国ニッポン」は、過去そういう一個人の個人的な献身がたくさん集まった集合体に支えられてきた部分が大きい気がする。

そして仮にも自称先進国である国が、一個人の献身に支えられてるようではいけない。

じゃあ辞めたらええやん、潰してしまったらいいやん、という人もいるやろう。

確かにその通り。

論理的には、めちゃくちゃ正しいと思う。

ただ、実は一旦家業に足を突っ込むと、基本的に転職を前提としたキャリア形成は難しくなる。

零細事業の仕事はマニアックで、後継者は異常なほど仕事を兼務する。

身に付けたことを評価しきって賃金に変えてくれる会社は少ないやろう。

気がついた時には転職が難しくなっている場合も多い。

じゃあ最初から、明らかに力の溢れる家業以外には、そもそも入らない、継がないというのが論理的には正解になってしまう。

アホやなと思う人もいるかもしれないけど、それをなんとかしようとする、かなりの数の人が存在する。

その人たちが、この国の決して少なくない部分を支えてるんではないかと推察していることは上に書いた。

確かにアホなんかもしれない。

アホでないと零細事業など継げないのかもしれない。

でも、その事業を諦めてしまうと恐らく確実に国そのものの力みたいなものが後退する。

後退している。

資本主義は儲からない事業の存在自体を否定する。

となると最終的には事業を魅力的で儲かるものにし、理不尽な値下げを突っぱねられて、国内だけでなく国外にも売上を伸ばせるような強いものにするしかなく、それができない事業が淘汰されていくのが自然なんやと思う。

悲しいけど確実に消えていってるものづくりがある。

これが、この国と資本主義と論理的な正しさが選んだ未来そのものなんやろう。

かつて零細事業が支えたメイドインジャパンは、この先どこに向かうやろうか。

投稿は以上です。

よろしければ同じように家業について書いた記事もご覧ください。

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