下請け×EC×D2C

今日、「真空屋」というステンレスジョイントの新しい事業をスタートしました。

ステンレスジョイントが得意な真空部品をウェブストア経由でお届けします。

サンキューの日にしたのは内緒です。笑

下請けという言葉、あんま好きじゃないんです。

なんか上から下に、ほり(放り)投げる感じするじゃないですか。笑

でも、わかり易いのと、あえてECとかD2Cという言葉と並べることでインパクトあるかなと思って書きました。

ECというのはEコマースですよね。

インターネットとか電子的なネットワークを使って経済活動をする。

ウェブストアがわかり易い。

アマゾンとか、楽天とか、ミスミとか、モノタロウとか。

D2Cというのはダイレクト・トゥー・コンシューマーで、直訳すると「消費者へ直接」というような意味になります。

いわゆる製造者が直接消費者に販売することですが、概念としては全然新しくないです。

大学の経営学の授業で出てきたんですが、コンピューターメーカーのDELLとか、完全にD2Cですよね。

別にネットを活用してなくてもD2Cです。

工場の中に店舗を設(しつら)えて、そこで販売する。

お客さんから反応を受け取って製品の改善に反映する。

立派なD2Cです。

ただし、近年のD2Cというのはちょっと意味合いが変わってきている気がします。

消費者に直接モノやサービスを届ける、というのもそうなんですが、それプラス販売する上でのインフラを自前で作り込むとか、SNSで交流するとか、それがスタンダードというか当たり前、みたいになってきている感じがあります。

ただし、例えばアパレルのメーカーがウェブストアを100%自前で作り込むのは、プロでもなければ厳しい。

やからこそ、ノーコードのアプリが増えてきている今、D2Cの多様化であったり、逆にD2Cというのがブランドの在り方そのものではなくて、一つの販売経路に過ぎない、という考え方が強くなってきてるんやと思います。

ECとD2Cというのは自身のものづくりブランドtodoroでかなり勉強をしたところなので、今回、真空屋の準備にあたっては、それがテストに出たというか、まるまる活用できた感じです。笑

この下請け、というのが、なかなか曲者なんですよね。

僕らのような小さい工場は、基本的に下請けで食っているところが多いです。

ようはお客さんから図面とか仕様書とかで、製作するものの仕様を頂いて、それに基づいて製作する。

やからこそ、何が必要かわからないから、ECで売りにくいんですよね。

下請けって、究極のマーケットインなんですよね。

マーケットインというのは市場から求められるということを優先としてプロダクトを提供する、ということです。

逆はプロダクトアウトですね。

ちなみにtodoroでやっている事業は、完全にプロダクトアウトです。

売れようが売れまいがあまり気にしていなくて、僕が作りたいものを作ってます。笑

下請けであればマーケティングをお客さんに任せる形になっていて、自社は放棄できる。

売れるかどうか悩みながら開発をする必要無いですよね。

もうそれで注文なってんねんから。笑

ただし、もちろん今後お客さんのところでこういう技術が必要になりそうやなと考えながら技術開発をしていく必要はあります。

メーカーに限った話になりますが、これはある程度規模に比例していて、人数が少なければ少ないほど、1時間ナンボで、というような、いわゆる賃加工(ちんかこう)寄りになります。

これは賃加工をやっているところをバカにしているわけではなくて、時間単価以上の付加価値を付けるためには、賃加工では難しい、という理論の話です。

ウチも、こんなん2500円でできるやん、と言われることあります。笑

ちなみにこれは製造業に限らず、調理や理容でも全く同じです。

なんで時給10万円のアルバイトは無いんですか、という話です。

ただし一口に賃加工といっても、腕前や使う機械でも加工賃の桁は変わります。

例外は、特殊な加工ができる技術をもっている場合ですね。

岡野工業さんの例とかわかりやすいですが、客さんとの力関係みたいなものがひっくり返ります。

そこにイノベーションがあるから。

イノベーションという言葉が無かった大昔から、町工場にはイノベーションが溢れてたんです。

そのへんに歩いているおっちゃん、おばちゃんがイノベーションぶら下げてたんです。

イノベーションが歩いてるんですよ。笑

それをうまく経済的な付加価値というベクトルに変換することができなかった。

このあたり、日本の生産性が下がった原因の一つやと思います。

ここ、テストに出ます。笑

力関係というものだけではなくて、技術を市場まで届ける過程や構造が歪(いびつ)やったんやと思います。

例外もあるし、近年大幅に変わってきていますが、大きい会社を経由しないと市場に出ない、とか、海外に販売されない、というケースがほとんどでしたよね。

たくさんの小さな会社が市場に直接プロダクトを届けていれば、こうはなってなかったかもしれません。

ただし、小さい工場にも原因がある。

技術をきちんと売ろうとしなかったんですよ。

俺らは職人、それは商人(あきんど)の考えることや、と切り分けて考えてしまったんやと思います。

安請け合いはしたくない、というプライドがある癖に高く売ることに向き合わなかったんやと思います。

たとえ一人親方でも、経営者である以上、本来は経営の勉強をしないといけなかったんです。

高く売るには勉強しないといけない。

勉強は、めんどくさい。

特に自分の不得意な分野なら、なおさらです。

黎明期からネットを活用してもよかったし、早くから英語で販売してもよかったわけですから。

実際にやっている会社もあるわけで。

これは日本人が英語を習得しない理由、苦手な理由とも似ています。

やらなくても食っていけるから。

今はそうでも、そのままやと行動としての投資にならないんですよね。

もう亡くなってしまったんですが、知り合いの会社の先代さんとお食事をさせて頂いた時のことです。

僕が「国は助けてくれない。子育てに対する政策がちゃんと機能してないですよね。」と言ったんです。

そしたら、その方は「国なんて関係ないでしょう。お楽しみの後に授かったもんを育てんのは当たり前のことでっしゃろ。」とおっしゃったんです。

人に頼らない前提で動く、というのはすごく大事やな、と思ったんです。

このあたり、やっぱり、戦争を知っている人は、自力で絶対に何とかしないといけない時がある、という考え方をもっている気がします。

小さい工場もそうで、自力で何とかしなあかん、という感覚、僕は大切やと思ってます。

そのための身近なツールがウェブサイト、ということですね。

やから僕はウェブサイトを推します。

前にも書きましたが、小企業ほどウェブサイトは自前で触れる方がいいです。

製造業の話ですが、小企業の技術はマニアックやから、説明もマニアックになります。

大企業みたいに「明日を創る」とかゆうたところで誰にも響かんしマネタイズできない。

やから実際は、よりロングテールで拾うような泥臭いマーケティングになる。

実際は組み合わせることになりますが、ウェブサイトに書くならヒット数がたくさん稼げるという観点でビッグワードを選ぶより、自分の未来のお客さんくらいしか検索してくれないスモールワードを選ぶのが効果的です。

額として大きいものをたくさん取りに行く必要はなくて、いろんな人から少しずつ売り上げを取れたら総量はそれなりになるし、依存率を下げるという意味でリスクヘッジにもなります。

いわゆる刺さる人に刺さればいい、ということですね。

インターネットがそれを可能にしてくれます。

ただしSEOは時間がかかる。

やから早く始める必要があると思います。

新しい事業を始めたからといって、嬉しい悲鳴なんて上がらないことくらい知ってます。笑

上がるのはいつもノーマルタイプの悲鳴だけ。笑

ちょっとずつ超町工場へ近づいていってるんでしょうかね。

町工場勤務者がコンパでモテ倒す時代、まだかな。笑

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